「世間のドクダミ」 群ようこ ちくま文庫 2009年
自分の尻は自分で… p29〜
「出会い系サイト、ツーショットダイアルという名前を耳にするようになってずいぶんたつが、私は携帯電話を使わないし、そういうものにアクセスしたこともないので、具体的なシステムはよく知らない。 ただ男女間のトラブルが原因のニュースで、双方の接点が、
「出会い系サイトで知り合って…」
と報じられることがあまりに多いので、たくさん利用者がいるのがわかった。 偏見かもしれないが、
「出会い系サイトやツーショットダイアルにアクセスする人間は、ろくな奴じゃない」
と思っている。 なかにはサイトがきっかけで、よき伴侶を得た人たちもいるんだろうが、それはたまたまいい相手に巡り合い、運が良かったからだ。 多くの場合はそうではないしよからぬ人間が連絡してくると予測がつくのに、それでも連絡してしまうというのは、考え方に問題があるとしか思えない。 悪い奴はほくえ笑みながら、都合のいい獲物がひっかからないかと網を張って待っていて、そこへみすみす引っかかっていくのが、理解できないのである。
自分だけは大丈夫という、わけのわからない自信があるからなのだろうか。 自分の意思に反した力ずくで犯罪に巻き込まれた人は、お気の毒としかいいようがないが、悪い奴が網を張って待っているところに、ちょっと考えれば危険が回避できるのに、つまらない好奇心で足を踏み入れ、犯罪に巻き込まれた被害者に対しては、気の毒だとは思えない。
「自業自得じゃないのか」
といいたくなるのである。
出会い系サイトで知り合った異性に、お金を貸してくれと頼まれ、断りきれずに貸したら、相手に逃げられた。 そういう人のために、代わりに貸したお金を回収する仕事があるという。 業者が相手に連絡をとって呼び出し、被害者に少しでも貸したお金が戻るようにするのだ。 世の中の変化に従って、新しい仕事が出てくるのは常だが、私の感想はただひとつ、被害者に対して、
「情けない!」
である。 だいたい、自分が出会い系サイトにアクセスして、そこで自分が選んだ相手と交際して、盗まれたわけではなく自分で財布を開いてお金を渡した。 すべて自分が決めたことである。 別に歩いていたところを捕まえられて、無理矢理付き合わされてそのあげくに金を取られて逃げられたわけではない。 それなのにお金が惜しくて、第三者に依頼してまで返してもらおうとする。 虫がよすぎないだろうか。
少し考えればどうなるかわかるのに、それでもやってしまって自分が痛い目に遭うのは、「あんたが悪い」、自業自得である。」
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2022年12月04日
自分の責任で、どうぞ。
posted by Fukutake at 07:31| 日記