「人生の知恵 −省察と箴言」 ラ・ロシュフコー 吉川浩(訳) 角川文庫
p70〜
「われわれの憎しみが強すぎると、そのためにかえって、憎い相手の後手をとることになる。
われわれは、自己愛の多寡に比例して、自分の幸不幸を感じる。
たいていの女の賢しさは、理性よりも、狂気を強めるのに役立つ。
偉人になるためには、自分の運を全部使い切れなくてはならぬ。
いざというときにこそ、自分が知られるのだ。他人にも、いなそれ以上に、自分自身にも。
女の精神や心情に、法則などあり得ようはずがない。必ず体質がからんでくる。
われわれは、自分の意見に与する人でないと、良識の人とは考えぬ。
われわれに小細工を弄する奴らが、あんなに癪にさわるのは、彼らが、われわれより上手のつもりでいるからだ。
欠点のなかには、上手に使われて、美徳より光り輝くものもある。
われわれが心から誉めるのは、相手がこちらを認めているときに限る。
器量の小さい人は、こまごましたことがひどく気になるものだ。器量の大きい人は、全てを知り尽くして、しかも、平気である。
他人から強いられる無理よりも、自分で自分に強いる無理の方が、苦しいものだ。」
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たしかに。