「ギリシア悲劇名言集」 ギリシア悲劇全集編集部 岩波書店 1993年
「不仕合せな者には、一夜といえども万夜の長さ、だが恵まれた者には朝は余りに早く来る。
どんな人間も幸せなどと言えるものか、死を迎えて、最後の日をどう過ごし、どのようにあの世へ逝くのかを見極めるまでは。
わが子よ、事をなすにあたっては、若者たちの手はいかにも逞しいが、判断にかけては年長者たちのほうが立ちまさっているものだ。なぜなら「時」はきわめて多様なことを教えてくれる師なのだから。
富と過度の贅沢とは、人間に男らしさを身につけさせるためには、悪い教えである。貧困は惨めではあるが、子供をより雄々しく困難に立ち向かわせ、実力あるものに育てる。
美しい生き方を求めておいて名声を得る者はいない、苦労することが必要なのだ。
よき子供達に恵まれ、子が災いの種と言いたてられぬ者こそ、羨まれるべきです。
老年と時の経過は、すべてを教える。
たとえ老人であっても知恵を学ぶことは立派なことである。
様子を見る医者は病気に時間を与えてやるので、身体を切る医者より実際に治療の成果をずっとあげている。
「時」はすべてを和らげ、すべてを成し遂げる。」
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