「アランの幸福論」 アラン ディスカヴァー・トウェンティーワン 2007年
「41 その場にふさわしい動きをする
たいていどんな場合でも、その場に合った動きを自分でつくりだす必要がある。寝つけない人は眠いふりをすればいい。くつろぎたければ、くつろいで満足しているふりをすればいい、それなのに人は、反対にイライラした様子を見せ、不安を隠さず、怒りをあらわにしている。ここは思い上がりのもとがある。そして思い上がりは、かならず厳しい罰を受けるのだ。」
「45 幸福を演じる
礼儀正しいふるまいは、わたしたちの考えに強い影響を与える力がある。優しさ、親切、幸せを演じることは、不機嫌の撃退にかなり効き目があり、腹痛にさえ効く。
また、それにともなう柔らかな物腰やにっこり笑うといったしぐさには、その反対のしぐさ −−つまり激しい怒りや反抗心、悲しみをあらわすしぐさをする余地を与えない、という利点もある。
だからこそ社会活動や雑談、行事、パーティがこれほど歓迎されるのだ。それは幸福を演じるチャンスであり、こうした喜劇のおかげで悲劇から救われるのである。そのはたらきは、ばかにできないのだ。」
「69 喜びを持って生きる
寒さに負けない方法はただひとつ、寒さを喜ぶことだ。満足の名人であるスピノザはよくこう言っていた。
「体がぽかぽかしてきたからうれしいのではなく、うれしい気持ちでいるから体がぽかぽかしてくるのだ」
ならば同じように、自分にいつもこう言い聞かせよう。
「うまくいったからうれしいのではなく、うれしい気持ちでいたからうまくいったのだ」
もしあなたが喜びを探して出歩くのなら、そのときは、必ず喜びをたっぷり持っていくといいだろう。」
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現実を受け入れる