2020年01月27日

ニューロン!

「DNAに魂はあるか 驚異の仮説」 F.クリック 中原英臣・佐藤峻 訳 
 講談社 1995年
(その1)

ニューロン結合
p280〜
 「人間が何かを見ているときに、脳では何が起こっているだろう。人間が見ることのできる物体は、ほとんど無限に近い。そんな無数の対象物の各々に一個のニューロン − しばしば祖母細胞と呼ばれる − を対応させることは不可能である。奥行き、動き、色、方向、空間的位置など異なる無数の対象物が、何通りの状態を取り得るかという組み合わせは天文学的な数字になる。その一つ一つにニューロンを対応させるのは無理だが。しかし、人の顔といった生態学的意義の大きい特殊な物体については、それに反応するニューロンのグループが存在することは考えられる。
 ある瞬間、視野に見えているどの物体も、それぞれ、一組のニューロンの発火によって表現されると考えることは許されるだろう。どの物体も、いくつかの異なる視覚野で処理される特徴(形、色、動きなど)を持っているので、何か一つの物体をみているときでも、多くの視覚野のニューロンが働いていると考えることは理にかなっている。
 これらのニューロンが、なぜ位一時的にグループとして活動するのかという問題は、しばしば「結合問題」と呼ばれてきた。一個の物体が見えるというとき、往々にしてそれは聴覚や嗅覚、触覚などでも感受されるので、視覚以外の知覚との結合もまた考える必要がある。
 人間の五感が統一性を保っているのは、脳が、対象物の持つさまざまな特徴に反応するニューロンを整合性のある方法で結合させているためであろう。今、あなたは熱弁を振るっている友人の顔に注意を集中しているとしよう。彼の顔の動きに反応するニューロン、顔の色に反応するニューロン、その口から出てくる言葉に反応する聴覚野のニューロン、さらには誰の顔かを見分ける記憶の痕跡までが、その友人の顔を知覚するために、“結合”している。そしてこれらすべてのニューロンが一緒になって、その特定の顔という知覚対象を作りあげているのである。(腹話術師の声が人形から出ているように聞こえるときのように、脳がだまされて誤った結合を作り出すこともある)。」


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(私の言う驚異の仮説とは、あなたが無数の神経細胞の集まりと、それに関する分子の働き以上の何ものでもないという仮説である。− フランシス・クリック)


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posted by Fukutake at 09:01| 日記