2020年01月23日

失敗=コミュニケーション不足

「あなたはなぜチェックリストを使わないのか?」 
 アトゥール・ガワンデ 晋遊舎 2011年
(その2)

コミュニケーションの失敗

p81〜
 「設計と建築が困難な(高層)ビルを都会のど真ん中に建てる、というのはよく考えると恐ろしい話だ。だが、社会全体が専門家の複雑な問題に対処する能力を信用し、それを許可している。建築を任された専門家たちは個人の能力を過信せず、二種類のチェックリストを使う。単純な手順の間違いを防ぐチェックリストと、話し合いをさせることで予想外の困難も確実に全てを解決させるためのチェックリストだ。
 オサリバン氏によれば、「建築業界では、大抵の悲劇はコミュニケーションの失敗が原因だそうだ。
 実はシティグループ・センターでもコミュニケーションの失敗はあった。V字型の巨大な支柱は溶接される、という仮定で建物の完全性が計算されていた。だが、溶接結合は手間がかかって高価なので、担当のベツレヘム・スチールはボルト結合への切り替えを提案した。ボルトは溶接ほど強くないが、彼らの計算では強度は充分だった。しかし、なぜかその変更と計算がルメジャー氏に確認されなかった。重要なチェックポイントが飛ばされてしまったのだ。
 ビルの完成から一年後の一九七八年、プリンストン大学の学生に質問され、ルメジャー氏は変更に気づいた。計算してみると致命的な問題があることがわかった。これでは風速一一三キロの強風に耐えられない。過去の気象記録によれば、五五年に一度はニューヨーク市内でも風速が一一三キロを超える。そうなれば溶接部は壊れ、ビルは崩れ落ちるだろう。ルメジャー氏はオーナーと市職員にだけ、それを伝えた。既にビルには人が一杯入っていた。台風が接近してくる中、作業員たちは夜間に秘密裏に働き、厚さ五センチの鉄板を二〇〇ヶ所のボルト接合部に溶接した。ビルは無事補強され、このいきさつは後に『ニューヨーカー』誌の記事で暴露されるまで世間に知らされなかった。シティ・グループ。センターは今でも健在だ。」

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途中変更の怖さとそれが全員に伝わらない怖さ

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posted by Fukutake at 08:54| 日記