2019年09月17日

米国覇権の衰退

「帝国以後」 アメリカ・システムの崩壊 エマニュエル・ドット 
 石崎 晴己 訳 藤原書店 2003年
(その1)

資産の蒸発 p141〜

 「世界のすべての国の指導者階級、特にヨーロッパの保護領と日本という保護領の指導階級が、このグローバル化された社会の均衡から利益を得ている限り、先進世界の労働諸階級の搾取と発展途上国の過剰搾取がこの均衡によって克服しがたい問題となることはないだろう。アメリカの覇権の脆さが拡大していくとすれば、その原因の一半は、調整メカニズムがヨーロッパと日本の有産階層や発展途上国の新ブルジョワジーという、被支配的周縁部の特権諸階層にとって脅威になるということに存する。それゆえわれわれとしてはここで、利潤というものが全世界規模でどのような運命を辿るのかを、さらに先まで追跡して行く必要があるだろう。
 …
 資本主義、利潤、金持ち、証券取引所、等々の用語を用いる一般的にして抽象的なモデルから脱却して、それらの概念を世界の現実の中に再び挿入してみるなら、全く単純明快に、世界の利潤の大部分はアメリカの証券取引システムの方へ流れ込んで行く、と言わざるを得なくなる。… 平均的世帯は借金を抱え、ウォール・ストリートでは首切りが相次いで行われる。さらには利子率が切り下げられ、現実の利子率ゼロが厳しい監視の下で遵守されることになると、それは投機経済からすれば、通貨の無償分配に等しい。しかしもしアメリカ経済は、消費財の大量輸入がさらに増大していることからも分かるように、その実体的現実においては生産性が低いということを認めるならば、株式の時価総額は虚構の集塊であり、アメリカ合衆国へと向かう金(かね)は文字通り蜃気楼の中に吸い込まれるのだと、考えなくてはならない。

 アメリカ合衆国への大量の投資は、あたかも切迫した破壊の予告のごときものであるということを知っている。どのようにして、どの程度の速さで、ヨーロッパ、日本、その他の投資家たちが身ぐるみ剥がされるかは、まだ分からないが、早晩身ぐるみ剥がれることは間違いない、最も考えられるのは、前代未聞の規模の証券パニックに続いてドルの崩壊が起るという連鎖反応で、その結果はアメリカ合衆国の「帝国」としての経済的地位に終止符を打つことになろう。

 アメリカはローマのような軍事力を持っていない。その世界に対する権力は、周縁部の朝貢国の指導階級の同意なしには成り立たない。徴収率が一定限度を越え、資産運用の安全性の欠如が一定水準を越えると、彼らにとって帝国への加盟はもしかしたら妥当な選択ではなくなってしまう。」

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リーマンショック(2008年)の予言

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posted by Fukutake at 16:50| 日記