2018年07月25日

冷戦体制終焉後の世界の終焉

「帝国以後」(アメリカ・システムの崩壊) エマニュエル・トッド 著 
 石橋 晴己 訳 藤原書店

アメリカ的社会モデルがヨーロッパを脅かす

250p〜

 「…アメリカ・モデルに同一化する資本主義の型は、これまでそれに最も抵抗して来た社会にとって脅威となるものである。日本とドイツという主要な工業国は、しばらくは自由貿易の恩恵に与ったものの、いまや総需要の不足に喘いでいる。日本では失業率が上昇しつつある。労働階級はもはやグローバリゼーションの圧力から守られることができない。ウルトラ自由主義がイデオロギー的に支配的になったため、これらの社会のなからも異議申立ての言及が浮上するようになっており、それは潜在的には心性的・政治的均衡へのはかい要因となり得るのである。
 アメリカの経済関係の新聞・雑誌は、この両国(ドイツと日本)のシステムを「非現実的」で「閉鎖的」として。その改革を要求し続けているが、現実はこれらのシステムの誤りとは、あまりにも生産性が高いということにすぎない。世界的不景気の局面では、最も強力な工業的経済の方が常に、時代遅れの経済や生産性の低い経済より打撃を受ける。一九二九年の危機はアメリカ経済を直撃したが、それは当時アメリカの工業力が強大だったからである。二〇〇〇年の生産性の低いアメリカ合衆国は、需要不足に立ち向かうには態勢にあるのだ。ドイツと日本のシステムの現代化を要求するアメリカの経済関係の新聞・雑誌は、巧まざるユーモアに長けているのだろうか。もしドイツと日本がアメリカ型の貿易収支の赤字を出すようになったら、世界経済はどうなるのか、真剣に考えてみれば分かりそうなものではないか。いずれにせよアメリカのイデオロギー的圧迫と、全世界規模での組織体制の中で自由主義的な考え方が支配権を握っているという自体は、ドイツと日本という最も輸出力のある工業的経済にとって、根本的な問題となりつつある。そしてこの両国はアメリカ合衆国の最も重要な同盟国に他ならない。アメリカ・システムの安定性の根拠は、出発点においては、第二次世界大戦で征服され、次いで手なずけられた。ドイツと日本というこの二本の基本的な支柱をワシントンが支配しているという事実であった。アメリカは、その赤字と失敗と不安によって世界に対する新たな非寛容の中に引きずり込まれ、この両国の離反を招きつつある。」

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パックス・アメリカーナの終焉
posted by Fukutake at 12:50| 日記