2018年07月23日

経済行動における人間原理

「『行動経済学』人生相談室」 ダン・アリエリー 櫻井 祐子 訳
  ハヤカワノンフィクション文庫 2018年

動作が遅くても喜ばれる?

40p〜

 (相談者)
 「親愛なるダンへ
  社会人になって間もないころ、僕は勤めていた大手銀行でエクセルの巨大なプログラムをつくりました。大量のデータを分析して、綺麗なレポートに仕上げるプログラムです。分析とレポート作成には二分ほどかかるため、その間砂時計を表紙して、プログラムを実行中だとわかるようにしていました。レポートはとても重宝されましたが、プログラムが遅すぎると散々文句をいわれました。
 その後面白いかなと思って、実行中の処理を見られるように設定を変えてみました。データがスライスされたり、データベースのいろんな部分が色が変わったり、ヘッダーのタイトルやグラフが作成される様子が、ビデオの早回しを見ているように見えるんです。でも問題があって、そのせいでプログラムの実行が前の三倍ほど時間がかかるようになりました。
 ところがびっくり、プログラムがどんなに速くてすばらしいかをみんなが口々にほめてくれるようになったんです。どうしてなのか、合理的に説明してもらえませんか?

(ダン・アリエリー)
 合理的かどうかはわからないが、論理的に説明してみよう。君がわかりやすく教えてくれた現象には、二つの要素がある。一つは、人は何かをぼんやり待っていると時間を無駄にしている気がして、時の経つのを苦痛に感じるということ。つまり君の同僚たちにとって、プログラムが終わるのをぼーっと待ちながら過ごすのは、何かをしながら過ごすよりずっと苦痛が大きかったんだね。二つ目の要素として、誰かが自分のためにはたらいているときにはとくにそうだ。ここでのポイントは、私たちは仕事から得られるアウトプットの質を直接評価するのは苦手でも、こと労力に関しては自ら進んで、自然に評価するということだ。そして面白いことに、誰かが自分のために一生懸命働いてくれる喜びは、人間だけではなく、コンピュータの計算にもあてはまるんだ。
 
 人間のこの性質に関する発見をふまえていつも周りに自分をアピールするといいよ。」


----
「自分のために何かをやってくれる=嬉しい」

posted by Fukutake at 10:25| 日記