2018年04月19日

神はなぜ必要か

「神話の力」 ジョーゼフ・キャンベル + ビル・モイヤーズ
 飛田 茂雄 訳 早川書房 1992年

第八章 永遠性の仮面 362p〜

  「モイヤーズ(インタヴュアー):さまざまな文化、文明、宗教の内側から外側から、多種多様な世界観が生まれてきました。先生はそういうたくさんの世界観を見てこられたわけですが、あらゆる文化社会には<われわれにはぜひ神が必要だ>という願いを産み出すような、共通の地盤があると思われますか。

 キャンベル:神秘体験を持ったことのある人はみな、自己の語感ではとらえられない宇宙の次元があることを知っています。『ウパニシャッド』のひとつに何度も出てくる言葉があります。「日没の、あるいは山の美しさの前で立ち止まり、『ああ』と嘆声を発する人は、神性のなかに入れる」そういう参入の瞬間は、存在の不思議さと純粋な美しさとの深い認識を伴います。自然の世界に生きている人は毎日そういう瞬間を経験できます。そういう人々は人間の次元よりもはるかに偉大なものがあること認識しています。しかし、人間にはそういう経験を擬人化し、自然のさまざまな力を人間の形に置き換えて表現したがる傾向がありますね。
 私たち西洋人の考えでは、神は宇宙のエネルギーと神秘の究極的な原因、ないし根源です。ところが、東洋の大方の思考によれば、また原始人の考えからしても、神々は究極的には超人間的なエネルギーの顕現または伝達者です。神が源泉なのではない。神はそのエネルギーを運ぶ者に過ぎない。そして、関係するあるいは伝達されるエネルギーの大きさや質というものが、その神の性格と役割を決定する。暴力の神々がいる、慈悲の神々がいる、見えざる世界と見える世界とを結びつける神々がいる、それに、戦争のとき国王や国を守護するだけの神々もいる。それらはみな、作用しているエネルギーの擬人化です。しかし、エネルギーの究極的な根源は謎のままです。」

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posted by Fukutake at 14:23| 日記