2017年09月25日

人間の心理は難しい。

「交通事故はなぜなくならないか」−リスク行動の心理学−
ジェラルド・J・S・ワイルド (芳賀 繁 訳) 新曜社
(その1)

分析なき直感は誤った結論を導く

2p〜
 「大勢の人がおかす重大なリスクについての統計資料や研究論文を読むと、最初はちょっとびっくりするようなデータがたくさん見つかるだろう。たとえば、喫煙が心臓や肺のさまざまな疾病や早死にに関連していること、禁煙すればこれらの疾病にかかる可能性が減ることは誰にでも知っている。だから、読者は、医者に禁煙を勧められて実際に禁煙した人が心臓疾病や肺疾患にかかる事例は少ないと予想するだろうし、その予想は正しい。禁煙したグループでは、実際これらの疾病の罹患率は低いのである。

 ところが、もし読者がこのグループの死亡率も低くなると予想するなら大間違いだ。禁煙群と統制群を比較したある研究によると禁煙群の方が少し短いという結果が得られているのである!

 運転するときシートベルトを着用したほうが着用しないよりも衝突時の生存率が高いことは、誰でも知っている。だから、シートベルト着用を法的に強制すればシートベルト着用率が上がり、国の一人あたりの交通事故死亡率は下がると信じたくなるだろう。
 また同様に、衝突安全性の高い自動車を製造し、運転を誤っても事故にはつながりにくい道路を建設すれば、交通安全に役立つと期待するだろう。しかし、これもまた、そうはなっていない。人間は間違いをおかす動物である。私たちの知覚と推論は謝りやすいのだ。

 たぶん、次の三段論法を聞いたことがあるだろう。
      人間は皆いつかは死ぬ。
      ソクラテスは人間だ。
      ゆえに、ソクラテスはいつかは死ぬ。

三行目の結論は最初の二行から導かれる。では、次の論理はどうだろう?

      多くの事故で、衝突前に車はスリップしている。
      アンチ・ロック・ブレーキ(ABS)はスリップの確率を低減する。
ゆえに、ABSを装備すると事故件数が低減する。

  交差点事故の多くは、クルマ同士が直角に衝突している。
      交通信号は直角に衝突する事例を減少させる。
  ゆえに、信号を設置すると交差点事故の件数が減少する。

 一見ソクラテスの論法と似ているから、後の二つの結論も正しいと考えたくなる。しかし、この類似がくせもので、後の二つは間違いなのだ。
 しかし、多くの人がこの罠にはまる。そして、間違った結論が人びとの社会的態度や先入観にピッタリ合っていると、さらに多くの人が騙される。」


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えっ!て思いますね。
posted by Fukutake at 08:24| 日記