2022年02月16日

タバコ

「同性愛の謎」 なぜクラスに一人いるのか 竹内久美子 文春文庫

p126〜

 「…何かややこしい問題が発生したとき、男がいそいそとタバコを取り出すという光景をよく見かける。それは他でもない、その困難に立ち向かうために不安を消したい、勇気がほしいという意味でもタバコが欲しくなるのだろう。

 しかし驚いたことに、タバコを吸うことでオキシトシンもまた分泌されるらしい。但しタバコの成分がオキシトシンを分泌を促すのではなく、赤ちゃん時代に乳首を吸っていたことや、お乳を卒業してもおしゃぶりや自分の親指を吸うことでオキシトシンを無意識のうちに分泌させていた、あの行為の名残がタバコを吸うことにあるからだ(マックシェイクの話はこれでより信憑性が高まるだろう)。

 ほ乳類では珍しい、厳格な一夫一婦性をとる、プレーリーハタネズミでは、オキシトシンがメス側の絆の形成に、バソプレシンがオス側の絆の形成を促しているという研究がある。
 さらに人間ではバソプレシンが記憶を増強させる効果があるが、それは男に限られるもので、文章や単語をよく思いつかせるのだという。私の師匠の故日俊隆先生は、タバコがないと原稿が書けないとよく言っておられたが、パソプレシンが単に集中力を高めるだけでなく、このように文章を書くこと自体に関わっているということを先生亡き後に私は知ったわけである。

 オキシトシンはそのレヴェルが高い状態で我が子を始めとする初対面の相手に接すると、大いなる絆が形成される一方で、なぜか記憶については忘却の効果を持つこともあるという。
 出産の痛み、苦しみは、その際にオキシトシンが大量に分泌されてるために記憶にあまり残らず、女をまた子が産みたいという気持ちにさせる。次の出産でも、また痛みを感じ、苦しむが、やはり忘れる、お風呂に入って一日をリセットするというのは、オキシトシンによる癒しというよりは、オキシトシンによるただの忘却の効果によるものかもしれない。
 オキシトシンとバソプレシンについては、またわからないことが少なくないが、どんどん研究が進んでいて目が離せないのである。」

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若かりしサラリーマンの時代は、出社してすぐにタバコを二本吸わないと仕事にかかれませんでした。
posted by Fukutake at 07:50| 日記