「遺伝子が解く! 愛と性の「なぜ」」 竹内久美子 文春文庫 2007年
p96〜
「質問:小児科の外来で診ていると、娘と比べて息子の方が病気になった時(特に幼少期)、少しの病気でも母親は必死になって医者に見せるような気がします。母親は知らないうちに息子のシンメトリーの脅威を感じているのでしょうか。(小児科医)
答え:やはりそうですか! そのはずだと思っていたのです。親は、娘より息子の方をよくお医者さんに見せるはずだ、と。
確かに男の子の方が病気にかかりやすいという要素はあります。しかし、親はちょっととしたことでも息子を医者に連れて行くはずなのです。彼をなるべくシンメトリーな男に」育て上げるために。
何しろ、シンメトリーな体の発達のために最も妨げとなるのが、感染症。細菌、ウィルス、寄生虫など、自身では生きていけず、他者に寄生して生きていく寄生者(パラサイト)によって引き起こされる感染症なのですから。
但し、親がそういう行動をとる動機が、子育ての習慣にあるとは思えません。医者に連れて行く際、習慣としてこうするものだから、自分の母親がこうしていたから、などといちいち考えているわけではないのです。
親は子どもの様子を見て、「これは医者に見せなきゃいけないかな」と考える。そのとき、なぜか息子だと娘に比べ、より深刻な事態に陥っているように感じられてしまう。よって、ちょっとした病気でも医者に見せる、というようなことでしょう。
女は産むことのできる子の数に限りがある。片や男にはそういう制限はない。うまくいけば無限といっていいくらいに子どもをつくることができる…。
男は当たれば大きい。ならば、その大事な“商品”の価値を減ずるようなことがないようにしようというわけです。
しかもそもそも、シンメトリーに育て上げる、あるいは女にモテるような男に仕立てるために投資し、大切にするという以前にこういう問題があります。
男の子というものは、出生時の体重が女の子より重い、つまり多くの栄養を与えている。その後の手間もよりかかっているし、よく食べる。とにかく既に投資した量が大きいのです。ならば何としても失うわけにはいかない。大切にしなければならないというわけです。
そんなわけで、男の子の方を大切にする傾向は、世界共通、人間界に共通であると言うことができます。…」
----
単に母親は男の子が娘より可愛いだけじゃない、ということね。
他のブログを見る : http://busi-tem.sblo.jp
ギリシャ悲劇名言集
「ギリシア悲劇名言集」 ギリシア悲劇全集編集部 岩波書店 1993年
「不仕合せな者には、一夜といえども万夜の長さ、だが恵まれた者には朝は余りに早く来る。
どんな人間も幸せなどと言えるものか、死を迎えて、最後の日をどう過ごし、どのようにあの世へ逝くのかを見極めるまでは。
わが子よ、事をなすにあたっては、若者たちの手はいかにも逞しいが、判断にかけては年長者たちのほうが立ちまさっているものだ。なぜなら「時」はきわめて多様なことを教えてくれる師なのだから。
富と過度の贅沢とは、人間に男らしさを身につけさせるためには、悪い教えである。貧困は惨めではあるが、子供をより雄々しく困難に立ち向かわせ、実力あるものに育てる。
美しい生き方を求めておいて名声を得る者はいない、苦労することが必要なのだ。
よき子供達に恵まれ、子が災いの種と言いたてられぬ者こそ、羨まれるべきです。
老年と時の経過は、すべてを教える。
たとえ老人であっても知恵を学ぶことは立派なことである。
様子を見る医者は病気に時間を与えてやるので、身体を切る医者より実際に治療の成果をずっとあげている。
「時」はすべてを和らげ、すべてを成し遂げる。」
--
「不仕合せな者には、一夜といえども万夜の長さ、だが恵まれた者には朝は余りに早く来る。
どんな人間も幸せなどと言えるものか、死を迎えて、最後の日をどう過ごし、どのようにあの世へ逝くのかを見極めるまでは。
わが子よ、事をなすにあたっては、若者たちの手はいかにも逞しいが、判断にかけては年長者たちのほうが立ちまさっているものだ。なぜなら「時」はきわめて多様なことを教えてくれる師なのだから。
富と過度の贅沢とは、人間に男らしさを身につけさせるためには、悪い教えである。貧困は惨めではあるが、子供をより雄々しく困難に立ち向かわせ、実力あるものに育てる。
美しい生き方を求めておいて名声を得る者はいない、苦労することが必要なのだ。
よき子供達に恵まれ、子が災いの種と言いたてられぬ者こそ、羨まれるべきです。
老年と時の経過は、すべてを教える。
たとえ老人であっても知恵を学ぶことは立派なことである。
様子を見る医者は病気に時間を与えてやるので、身体を切る医者より実際に治療の成果をずっとあげている。
「時」はすべてを和らげ、すべてを成し遂げる。」
--
posted by Fukutake at 08:26| 日記