2021年07月14日

虎の巻

「六韜(りくとう)」  林富士馬(訳)  中公文庫  2005年

 第四巻 虎韜 三十三 疾戦(速攻戦術)p140〜

 「武王が太公望に尋ねた。
「敵軍がわが軍を包囲して、進路、退路ともに断たれ、食糧輸送の道さえも絶ってしまったとき、どんな戦法をとったらよいであろうか」
 太公望が答えた。
「それは最悪の状態というものです。迅速果敢に反撃に出れば勝てますが、慎重に備え、いたずらに日を送っていたら敗戦を招くことはあきらかです。このような場合には、前後左右、四隊の突撃隊を編成し、戦車と勇猛な騎兵とをもって敵の軍隊を混乱させ、その混乱に乗じて疾風迅雷の攻撃を加えたなら、包囲を突破し、縦横自在に軍を動かすことができるでしょう。」

 武王が言った。
「敵の包囲を脱出した後、戦いに勝利を得るためには、どのような方策があるのだろうか」
 太公望が答えた。
「左翼の軍はただちに左に撃って出、右翼の軍は一直線に右を撃ち、敵に誘われて深追いすることなく、中央の隊は左右両翼の隊の状況と歩調を合わせながら前進、後退し、兵力を分散させることなく、たがいに連絡を取りながら行動するなら、敵軍がいかに衆を恃んでいても、敗走させることができるものであります。」」

------
苦境にあっては、躊躇せず疾風のように果敢に撃って出るしかない。
posted by Fukutake at 11:05| 日記