2021年06月04日

名言集

「英文対訳 世界を動かした名言」 J.B.シンプソン 隈部まち子・訳   講談社+α文庫

 「ヘルマン・ファイフェル
 死が老人にだけ訪れると思うのは、まちがいだ。死は最初がらそこにいる。」(It is a myth to think death is just for the old. Death is there from the very beginning.)

 「W.H.オーデン
 死とは、ピクニックのとき、遠くに聞こえる稲妻の音。」(Death is the sound of distant thunder at picnic.)

 「ジョン・ドス・パソス
 仕事は、選ぶものではなく、巻きこまれるものだ。」(People don’t choose their careers, they are engulfed by them.)


 「エドガー・ブロンフマン
一〇〇ドルを一一〇ドルにするのが仕事だ。一億ドルを一億一〇〇〇万ドルにするのは当たり前の話である。」(To turn $100 into $110 is work. To turn $100million into $110million is inevirable.)

 「ハロルド・S・ジェニーン
 実行は一トンのダイアモンドの重み。不履行なら、いつでも言いのがれできる。」(Performance stands out like a ton of diamonds. Nonperformance can always be explained away.)

 メアリー・K・アッシュ
 「できると思ったら、できます。できないと思うと、できなくなるものよ。」
(If you think you can, you can. And if you can’t, you’re right.)

シドニー・B・バローズ
 「こちらがレディらしく振る舞えば、相手も紳士のように振る舞ってくれます。」(The more you act like a lady, the more he’ll act like a gentleman.)

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なるほど!
posted by Fukutake at 08:18| 日記

訓読みの努力

「新訂 小林秀雄全集 第十三巻」本居宣長 新潮社 昭和五十四年

漢文訓讀 p276〜

「言語がなかつたら、誰も考へる事も出来まいが、讀み書きにより文字の 扱ひに通じるやうにならなければ、考への正確は期し得まい。動き易く、消え 易い、個人々々の生活感情にあまり密着し過ぎた音聲言語を、無聲の文字 で固定し、整理し、保管するといふ事が行はれなければ、概念思考の發達 は望まれまい。ところが、日本人は、この所謂文明の第一歩を踏み出すに 當つて、表音の爲の假名を、自分で生み出す事もなかつたし。他國から受 取つた漢字をといふ文字は、アルファベット文字ではなかつた。圖形と言語 とが結合して生まれた典型的な象形文字であつた。この事が、問題をわかり にくいものにした。 漢語の言靈は、一つ一つの精緻な字形のうちに宿り、蓄積された豐かな文 化の意味を語つてゐた。

日本人が、自國語のシンタックス*を捨てられぬまま に、この漢字獨特の性格に隨順したところに、訓読といふ、これも亦獨特な 讀み方が生まれた。書物が訓讀されたとは、尋常な意味合では、音讀も黙 讀もされなかつたといふ意味だ。原文の持つ音聲なぞ、初めから問題では なかつたからだ。眼前の漢字漢文の形を、眼で追ふことが、その邦譯語邦 譯文を、其處に想ひ描く事になる、さういふ讀み方をしたのである。これは、 外國語の自然な受入れ方とは言へまいし、勿論、まともな外國語の學習でも ない。このやうな變則的な仕事を許したのが、漢字獨特の性格だつたにせ よ、何の必要あつて、日本人がこのやうな作業を、進んで行つたかを思ふな ら、それは、やはり彼我の文明の水準の大きな違ひを思はざるを得ない。 向うの優れた文物の輸入といふ、實際的な目的に從つて、漢文も先づ受 取られたに相違なく、それには、漢文によつて何が傳達されたのか、その内 容を理解して、應用の利く智識として吸収しなければならぬ。その爲には、 宣長が言つたやうに、「書籍と云ふ物」を「此間の言もて讀みなら」ふ事が捷 径だつた、といふわけである。無論、捷径とはつきり知つて選んだ道だつた とは言へない。やはり何と言つても、漢字の持つ嚴しい顔には、壓倒的なも のがあり、何時の間にか、これに屈従してゐたといふ事だつたであらう。屈 従するとは、壓倒的に豐富な語彙が、そつくりそのままの形で、流れ込んで 来るに任せるといふ事だつたであらう。それなら、それぞれの語彙に見合 ふ、凡その意味を定めて、早速理解のうちに整理しようと努力しなければ、 どうにもなるものでもない。此の、極めて意識的な、知的な作業が、漢文訓 讀による漢字學習といふものであつた。これが、わが國上代の教養人といふものを仕立てあげ、その教養の質を決めた。そして又これが、日本の文明 は、漢文明の模倣で始まつた、と誰も口先きだけで言つてゐる言葉の中身 を成すものであつた。」

シンタックス* 文法や構文規則などのルール

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posted by Fukutake at 08:14| 日記