2020年12月02日

やっぱり自分は自分

「ムーミン谷の十一月」 ヤンソン 鈴木徹郎訳 講談社文庫

p46〜
 「ヘムレンさんは、ふとんの中に深くもぐりこみ、鼻をまくらにあてて、ぐいぐいおしつけました。それから、おなかを、つめたいシーツのはしのほうへずらしました。ベッドいっぱい大の字になって、両手と両足をひろげて、たのしいゆめを見るまで、じっと待っていました。いつまで待っても、たのしいゆめなんて、見られっこないんですけれどね。
 からだを小さくまるめてみましたが、だめです。みんなにすかれるヘムレンになってみようと思ったり、みんなにきらわれる、かわいそうなヘムレンになってみようと思ってもみました。
 でも、だめでした。どんなに苦心してみても、やっぱり、自分は自分でした。いままでどおり、いくらいっしょうけんめいになってみても、さっぱり、いいめにあえないヘムレンでした。
 とうとう、あきらめて、ベッドからぬけだし、ズボンをはきました。
 ヘムレンさんは、服をぬいだり着たりするのがきらいでした。着たりぬいだりしていると、毎日おんなじことをくりかえしているみたいな気がしてくるのです。無意味な毎日をすごしているように思えるのです。
 それでも、やっぱり、来る日も来る日も朝から晩まで、せっせとせいをだして、あれこれ、きちんとならべてみたり、おきかえてみたり、かたづけてみたりして、すごしていました。…」

(英訳文)
 「He crept under the bedcover and buried his nose in the pillow, then he shifted his stomach to the edge of the bed where the sheets were cool. He took possession of the whole bed with outstretched arms and legs, he was waiting for a nice dream that wouldn’t come. He curled up and made himself small but it didn’t help a bit. He tried being the Hemlen that no one liked. But however hard he tried he remained a Hemlen doing his best without ever really pulling it off. In the end he got up and put on his trousers.
The Hemlen didn’t like getting dressed and undressed, it gave him a feeling that the days passed without anything of importance happening.
 Even so, he spent the whole day arranging, organizing and directing things from morning till night.…」

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posted by Fukutake at 11:01| 日記

孫子の兵法

「現代語訳 孫子」杉之尾宣生 編著 日経ビジネス文庫 2019年
(その2)

「九変編」続き p167〜

 4 状況判断における賢明な利害打算
(12)したがって、名将の状況判断は、敵味方の相対戦力、戦場の戦術的な特性等の利害と得失を熟慮して下される。
(13)有利な要素と不利な要素とを同時に考慮に入れるから、名将はその企画を実現することが可能になる。不利な要素を考慮に入れるから、困難を打開できる。
(14)近隣諸国からの武力侵攻を抑止できるのは、彼らに脅威をもたらす軍事的能力を保有しているからである。
(15)近隣諸国を、我が国に協力するようにさせられるのは、我が国が利害を与えることができるからである。また、これらの国を我が国が欲する方向に自在に動かせるのは、すぐに飛び付けるような利益を与えることができるからである。

 5 「想定外」の陥穽への警鐘
(16)(地震・津波・異常気象といった自然災害などを含む)危険・危機といった事態が起きてほしくない、という願望に依存するのではなく、いついかなる災厄が襲ってきても、被害を最小限に局限できる危機管理態勢を、平素から構築整備しておくべきである。我が国を侵略してくるような邪な国や組織は存在してほしくないという願望に依存するでのはなく、いかなる侵略行為をも抑止し、対応できる不敗の態勢を、平素から構築・整備しておくべきである。これらの危機管理、侵略抑止、対処の基礎的な態勢を確立しておくことこそが、戦争特に武力戦に対応するための基本である。

 6 将師のアキレス腱
(17)将軍には、危険をもたらす五つのアキレス腱がある。
(18)向こう見ずで死に物狂いになる将軍は殺される。
(19)死を恐れ、生に執着する将軍が、捕虜とされるであろう。
(20)短期で怒りやすい将軍は、敵の挑発に乗りやすく、主導権を失う。
(21)あまりにも清廉潔白な将軍は、辱められると、謀略に陥りやすい。
(22)人民や部下将兵に対する同情心に富み、鬼手仏心という大事を理解できず、小を殺して大を生かす道を知らない将軍は、優柔不断に陥りやすく、重要な時機における決断を下せない。
(23)この五つの性格的な弱点は、将軍の武力戦指導においては致命的な欠陥となる。」
(24)軍隊の壊滅と将軍の戦死は、必ずこの五つの欠陥から生じるものである。これは、よくよく理解・認識し、時制・自戒しておかねばならない。」

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現代日本の状況にも適合できる至言。

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posted by Fukutake at 10:58| 日記