2020年01月03日

自分を信じて

「医師は最善を尽くしているか Better: a surgeon’s notes on performance」 アトゥール・ガワンデ 原井宏明訳 みすず書房 2013年

あとがき より
医学生への五つのアドバイス(その5)
 p236〜
 「私の五番目のアドバイスは、「変われ」である。他の領域でもそうだが、医療において、新しいアイデアに対する対応には三つある。一つは、アーリーアダプター(初期作用者)、二つ目は、後期採用者。そして、残りはずっと疑い続け、変化に抵抗することを止めない。医師は、この三つのスタンスのどれでも、とる理由がある。ジョナス・ソークが新しいワクチンを四〇万人の子どもに試したとき、戦場の外科医が出血は止まったが腹部は開いたままで、手術もやりかけの兵士を最初にラントシュトゥールに移送したとき、ワレン・ワーウィックが嚢胞性線維症
の子どもに通常より多い栄養チューブを刺しはじめたとき、だれがこのアイデアを本当にいいアイデアだと言えただろうか?医療には悪いアイデアの例がたくさんある。前頭葉ロボトミーが一時期、慢性疼痛のコントロールのために行われた。バイオックス(メルクが発売したCOX2選択的阻害剤、関節炎治療薬。二〇〇四年、メルクは自主回収に追い込まれた)は心臓発作の原因になった。バイアグラは、最近わかったことだが、部分的視野欠損を起こす可能性がある。
 しかし、それでも自分自身はアーリーアダプターになりなさい。変化するためにチャンスをさがしなさい。今やっていることの不十分さを努めて認めるようにし、そして解決法をさがすようにしなさい。いくら成功したとしても、不確実性と失敗はいつまでも医学につきまとう、それゆえ、医学は人間的である。ときには痛みを伴い、時にはやりがいがあるだろう。…
 この現実があるから、他人と同じことをするのが一番安全だと人は思いがちである。医療という機械のなかの白衣を着た歯車になるわけである。
 しかし、医師はそうなってはいけない。社会に対するリスクと責任を他のだれかに押しつけてもいけない。何か新しいことを試し、何か変えてみなさい。何回成功し、何回失敗したかを数えなさい。それについて書きなさい。どう思うか人に聞きなさい。そして。会話がどこまで続けられるか試してみなさい。」

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進め、進め!


posted by Fukutake at 08:46| 日記